ハンガリーの温泉

 

ハンガリーは温泉王国と言えます。国内で600ヶ所も温泉が湧き出ており、その中で利用されているのは50ヶ所にも及びます。
温泉ホテルはブダペストで5箇所、ブダペスト以外は16箇所あります。
カルパチア盆地に、ハンガリー人が移り住む前の時代にはローマ人が、それから16〜17世紀に占領していたトルコ人もが温泉を利用していた遺跡が残っています。
19世紀後半からプールとしてもお風呂としても利用されるようになってきて、温泉治療が盛んになりました。
最近5年程前から現在に至ってもモダンな温泉ホテルが建てられています。


ヘーヴィーズ

画像をクリックすると拡大されます。ハンガリーの温泉の中で最も有名で独特なのはへーヴィーズと言う温泉湖です。傷付いた鹿などの動物が傷を癒すためにこの湖に入りに来ていて、それを見たローマ人達も入るようなったと言う伝説が残っています。
18世紀に、この地域の土地所有者、フェシュテティチ伯爵の指示によって最初の入浴ための建物が建てられました。
ヘーヴィーズ温泉湖は150万年前から湧き出ています。水面は4.4ヘクタールと世界で最も広い面積で、水深の平均は150〜220センチです。地学者達の研究によると、湖の下にある洞窟迷宮は、ヨーロッパの中で最も深いと言う見解で一致しました。水面から湖の底の噴出し口まで深さは38.5メートルもあり、噴出し口から噴き出る速度は毎秒410リットルで、湖の水が2〜3日で全て入れ替わるくらいの速度でバラトン湖に流れ出ています。
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スイレン

この湖の植物の中で最も美しいのはスイレンで、ヘーヴィーズ市の紋章と旗にも描かれています。スイレンは、白と赤紫色との2色があります。白いスイレンは、ハンガリー国内に昔からあった色ですが、赤紫色のスイレンは、1898年にロヴァシ・シャーンドルがインドから研究のために持ち込んで植えられたものです。水面から5〜7センチくらいの茎が伸びて、花が浮かんでいるようにも見えます。スイレンのたくさんの葉によって、湖の水が蒸発しにくくなり、保温効果もあります。湖底の根と水面までの茎によって、泥炭の有効成分を保っています。

湖の水に流れがあるので泥と水がよく混ざりあって、特別な成分になっています。
成分は微粒子なので皮膚からの吸収が良く、その上、蒸気もあがっているので呼吸気管からもよく吸収されます。
湖の泉質は、アルカリ性で、炭化水素と硫黄を含んでおり、わずかに放射性です。
慢性運動障害やリューマチ、通風などに効用があります。ヘーヴィーズの水温は夏の最も暑い時期で36度程、冬の最も寒い時期でも26度以下になることはないので、四季を通じて利用できます。ニュージーランドのノース・アイランドにも似たような湖がありますが、こちらの湖は人間が入れない程の熱さです。

 

ブク

画像をクリックすると拡大されます。この温泉の源泉は58度です。温泉のすぐ隣にホテルやペンション等が多く建てられ、新しい村が作られました。泉質はカルシウム、炭化水素を含んでおり、リューマチや慢性運動傷害等に効果があります。また胃腸疾患には飲用治療も用いられます。広いゴルフ場があるので、外国人に人気のある場所のひとつです。この地域の発展が盛んで、2004年だけで5つ星、4つ星の新しいホテルがオープンしました。

 

 

画像をクリックすると拡大されます。シャールヴァール

もともとはナーダシュディ城で有名になった町でしたが、最近は温泉治療のために多くの方々が訪れるようになりました。成分は炭化水素や弗化物を含んでおり、慢性運動傷害、皮膚病、婦人病に特効があります。


ハルカーニ

画像をクリックすると拡大されます。ハルカーニという場所は、ハンガリーの南に位置しており、美術で有名なペーチという町から25km、ワイン産地知られているヴィッラーニから18km離れた所です。温泉は180年前から使われています。世界的に珍しい成分が入っていますので、ハンガリーの全ての温泉地の中で高く評価されています。例えば、慢性運動傷害、婦人病、皮膚病、胃腸病に効果があります。


ハイドゥソボスロー

画像をクリックすると拡大されます。1925年、ある地学者の発掘によって、1091メートルの深さから73度の温泉が吹き上がり、その後、温泉施設の建設が始まりました。泉質は、塩化ナトリウム、ヨード、臭素を含んでおり、婦人病、慢性意運動傷害、皮膚病、胃腸病に特効性があります。


エゲルサローク

画像をクリックすると拡大されます。この温泉の湯は、酸性を帯びていて、硫酸塩、ナトリウム塩を含んでいます。湧き出たお湯が丘を流れ落ちる際に冷えて白い沈殿物として残っています。これが日の光によって湯気の上がった白い岩のように見えます。以前は設備が整っていない露天風呂のような状態でしたが、最近、この露天風呂を囲むような形で温泉ホテルの建設が始まっています。

 

 

ゲッレールト温泉 (ブダペスト)

画像をクリックすると拡大されます。画像をクリックすると拡大されます。ゲッレールト温泉は、ゲッレールト丘の麓から湧き出ており、15世紀から、ハンガリー人によって不治の病をも治すことのできる奇跡の温泉として利用されていました。トルコ占領時代にも、水温が高く、水量も豊富であったので、ブダの温泉の中でも人気のある温泉でした。
現在に至るアールヌーヴォー様式の建物は1918年に完成し、1927年には屋外の波のあるプール、そして1934年にはジェットバスも作られました。泉質はナトリウム、カルシウム、マグネシウム、弗化物等を含んでおり、慢性運動傷害、呼吸器病患に特効があります。


セーチェーニ温泉(ブダペスト)

画像をクリックすると拡大されます。1878年には、市民公園の中でジグモンヂ・ヴィルモシュ技師によって970メートルの深さから温泉が掘られ、l913年に浴場として立派なネオバロック建物が建てられ、その当時ヨーロッパで最も広い温泉施設でした。1936年には、1257メートル深さまで更に掘り下げられて、硫黄を多く含んだ75度のお湯が吹き出てきました。ブダペスト温泉の中で最も温かく、毎分3570リットルも湧き出ている程豊富な水量があります。入浴治療として慢性運動傷害、婦人病、飲用治療として胃腸病に効果があります。